ずっとにぎっていたいもの

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信じられないくらい幸福だ。車の中で大好きな音楽を最大音量でかけて、ぽろぽろと泣いた。胸がいっぱいで、煌めいた時間を噛み締めて、ずっとずっとにぎっていたい。ここにくるまでに本当にたくさんのことがあった。でもそれが、それらの出来事たちがこの幸福を創り出している。不思議だな。普段はあんまりいきすぎた前向きな言葉や言動は好きではないけれど、信じてしまいたくなる。夢なのかもしれないと思うほど儚いこの幸せを、ずっと、できる限りの長い間、握りしめて生きていきたい。

 

0227

人からもらえる言葉のあたたかさを知ることができたのは彼女のおかげだと思う。心が温度をもつような、芽が出るような、前向きな気持ち。視界がぐーっと広がる感じ。

 

自分が大切にするべきことを、その対象を、間違えずに。

 

 

暗い雨のなかで

雨の音が聞こえる。無音よりずっと落ち着く。しとしとと雨が降る日に、水に触れることが好きだ。長く湯船に浸かっていたいと思うし、今日はプールに行って泳いだ。

やっと、泳げるようになった、と思う。苦しかった日々から抜け出して、息継ぎをしながら。たまに立ち止まることもあるけど、それでも体育座りしていたころとは違う。水を自分の手でかき分けて、足をばたばたうごかして、懸命に泳いでいる感じがする。

周りの機嫌を伺う前に、まず自分を顧みようと思った。やっぱりひとりの時間をつくること、最優先にしていきたい。好きなだけ映画を観て、本を読んで、言葉に触れる、そんな時間がわたしをつくっている。私はつくり出されている。

揺れる

泳いでいる時間は解放的だ。考えることも放棄して、ただ底に映る水の光の揺らめきをみていた。

今の私はプールの底でじっと体育座りをしているような気分。うまく、大きく、息が吸えない。

どうしてこんなに気持ちが沈んでいくのかわからない。

誰も私を傷つけないで、と、身勝手な祈りに近い願いが、言葉にならずにするすると落ちていく。

自分を守ることに精一杯だから。いつだって傷つくのがこわいから。

 

サマーカクテル

 

旅先で新しい香水を買った。

煌びやかで華やかな夏の夜のひとときをイメージした香り の文字に、頭のなかにはキラキラ輝いた夜のプールが浮かんで、少し派手な気もしたけど、そんな気持ちが生れる前に手が伸びていて、一目惚れだった。

夏をこんなに綺麗な情景で思い出せたのは久しぶりだったから。

 

自分の力で、自分がときめいたものを手にすることができるってうれしい。何にも頼らず自分の目でキラキラしたものを選択できると、自信がついたような、少し成長したような気持ちになる。

 

抜け殻だ。

やるべきことが終わった。

この上なく開放的な気持ちのはずなのに、なぜか、赦されない気がしている。

住み慣れたアパートの静寂のなかで、もうずっと、どしりと重い体を支えながらぼうっとしている。時計の秒針を刻む音だけが、寂しくわたしの耳に届く。

突如として現れた、あの頃の記憶にいとも簡単に引きずられそうになる。

後悔のループが始まる。ぐるぐるずっと、やり直すこともできない過去の選択を憎しみつづける。

 

はやく、はやく違うことをしなくちゃ。どこか違う世界に夢中にならなくちゃ。

 

やりたいこと、例えばあんなに我慢していた本を読むこととか、写真を撮ること、絵を描くこと、たくさんあるのに、誰にも邪魔されないのに。

わたしのときめく気持ちを遮っているのは自分だ。

本当のわたしはずっと黒くて、錆びれている。

 

 

真っ暗がり

 

暗闇はすべてをただ黙って受け入れてくれる。

何にも見えないふりをして、大きな手を広げてそっと包み込んでくれている気がする。

 

人の心にずかずかと土足で入ってくるその足音とか、訂正が許されると信じて発せられる、するどい言葉たちの方がずっと、怖いものだと思う。

 

心の中がどれだけ黒くても、暗闇だけは、見て見ぬふりをしてくれる。赦してくれる。

誰にも見られない自分の気持ちだけは、自分で大切にしてあげよう。魔法をかける必要なんてないから。

ありのままの

 

わたしは白が好き。

何にでもなれる、希望に溢れた色。

イメージカラーがピンクって言われることも、女の子らしくいることの大変さも煩わしさもたのしさも、もう充分、慣れたつもりでいた。

 

なのにどうして、自然とピンクを避けるようになったのは、いつからだっただろう。

 

いつだって、なりたい自分ときっと外から見えてる自分のちぐはぐさに追いつけなくなる。